今日読んだ本
- 作者: カミュ,窪田啓作
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1963/07/02
- メディア: 文庫
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「人間は全く不幸になることはない、とママンはよくいっていた。空が色づいて来るときや、暁のひかりが私の独房にしのび込んで来るとき、ママンの言葉はほんとうだと思った。」
また、ラストの部分も胸に響く。
「すべてが終わって、私がより孤独でないことを感じるために、この私に残された望みといっては、私の処刑の日に大勢の見物人が集まり、憎悪の叫びをあげて、私を迎えることだけだった。」
たとえ憎しみでも、その人に対する関心が向けられているという点では、孤独よりましである、ということだろうか。いや、引用部分の直前にあるように、「世界」が自分に対して「優しい無関心」をみせてくれ、孤独になったとき、自分自身が「生きかえ」り、初めて本当の自分が生まれる、ということだろう。心に孤独を持ったとき、初めて人は「幸福」になる術を知る。