『ダークナイト』
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/12/10
- メディア: Blu-ray
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街に平和をもたらしたいバットマン、しかし自分がいるからこそ悪が絶えないというジレンマ。その結果、犠牲になる市民たち。その苦悩の描き方が秀逸。平和を託せそうな人物と出会うも、その人物もまた憎しみによって悪へと転嫁してしまう。その人物を街のシンボルとして英雄のままでいさせるために、みずから汚名を引き受けるバットマン。本当は正義の人物のはずなのに、バットマンは人々から悪としてとらえられる。何と悲しい物語なのだろう。でも、この物語の背後に、どこかアメリカなる国の論理が見え隠れしている気がしてならない。つまり、バットマンの苦悩は、アメリカの苦悩だ、と。こう考えると、かなり微妙なお話。
しかし、この映画のポイントは、何といってもジョーカー。その狂気っぷりがたまらなくいい。いや、すごい狂気を抱えているんだけど、にもかかわらず人間くさいんだよね。バットマンの描き方もそうだけど、その人間っぽさがリアルで不気味。それが、この映画の最大の魅了だろう。でも、結局のところジョーカーはテロリスト以外の何者でもないし、その点でやっぱりアメリカ的な映画なんだよなあ。