『うみねこのなく頃に散』Episode5

 ようやくEpisode5が終了。以下、ネタバレ注意。






 Episode5は、要するに冤罪の物語。赤とか青とか、真実とはいいながらもその根拠はむちゃくちゃなものばかり。だって、超自然的な存在が唱える赤は、それを証明する必要がないんだもん。ヱリカは一晩中見張っていた(じゃなくて、壁に耳を当てていた)というけど、それを誰が証明するというのか。そもそも語り手は自分の都合のいいことしか語らず、時には物語内容を捏造する可能性だってあるじゃないか。この話のなかでは(おそらく例外として)名前が挙がっていないけど、クリスティ『アクロイド殺し』の例だってあるわけだしね。
 で、結局のところ、探偵なる人物によって都合よく作られた物語をどう看破するかがこの物語(つまり『うみねこのなく頃に』はメタ物語)なのだが、今のところ手がかりらしい手がかりはなし。あるのだろうけど、それは膨大なテキストのなかに埋もれていて、少なくともわたし自身の眼にはみえてこない。夏妃にかかってきた電話や、蔵臼その他の死体の行方など、まだ解かれていない謎も多いので、真実はまだまだ遠いという印象。犯人に仕立て上げられてしまった夏妃には同情するが、もともと彼女(と蔵臼)が嘘ついていたのが悪いので、その辺りはなんとも。犯人はひとりでなく複数の可能性を疑っているのだが、果たしてどうだろうか。
 それにしても最初、上述のように根拠がむちゃくちゃなものばかりなので、ほとんど推理する気が起こらなかったが、いつの間にやら犯人が誰かだんだん考え始めてしまっているから不思議。戦人の熱にやられたかな?(笑)
 ついでにいえば、こうした物語づくりを自分もまたやっているかもしれないということを、今さらながら再認識。真実を暴くというのは非常に暴力的な行為であり、そうせざるを得ない場合がある反面、そのことによって傷つく人たちがいる。ましてや、自分では真実であると思っていることは、実は真実でないかもしれない。そのことに果たしてどれだけ自覚的でいられるか。難しいが、せめてその可能性だけは忘れないようにしよう、とあらためて自戒した次第。



 ……と、ここまでが本編終了時点での感想。そのあと、恒例のTea partyおよび????で話が大きく動き出して、びっくり。ははあ、その可能性もあったよな、と妙に納得。ようやくアクロイドの名前も出てくる。でも、戦人の立ち位置については微妙。探偵じゃないことは納得できるが、ねえ。
 こういう展開になってくると、やっぱり自分で推理したいと思わないなあ。とにかくさっさと第6話を読んでみよう。